――芸能界に入ったきっかけを教えてください。
きっかけは、簡単に言えば親だったんですけど、小学校の頃から劇団に入っていてそのまんま色々とやりながら今に至っているというような感じです。
――この仕事をしていて良かったと思う事は?
そうですね…元々小さい頃から始めて、物心ついたころからこの業界にいたので、「この仕事でずっとやっていくんだろうな」って事は漠然と考えていたんですね。自分なりに仕事の楽しさとかを感じていたのですが、高校生に上がった時に周りのみんなが進路とか夢を目指して、頑張ったり焦ったりしている中で、僕はこの世界でやっていくと思ってはいたけど「じゃあそのためには何が出来ているんだろう」って考えるようになって。それから自分なりに芸に向けて技を磨かなきゃいけないなって思い、本格的にお芝居の稽古だったり、歌のボイストレーニングだったりダンスのレッスンを始めて、自分の体で色んな事を表現することがどんどん好きになりました。それで運が良いことに高校3年生の時に声優のお仕事のオーディションのお話を頂いて、初めての声優のオーディションで決まることが出来て、声優の世界に入ることが出来ました。それから色んな作品に参加させて頂ける中、キングレコードさんとの出会いもあったりして、歌も出すことが出来ているんですけど。やりたいって願ったことと、自分が磨いてきたことが今になって色々繋がって本当に幅広く活動させて頂いています。それが「この仕事をしていて良かった事」ですね。やっぱり自分の夢に向かって、何かを経験することってひとつも無駄にならないんだなっていうのを今すごく感じています。

――舞台『戯伝写楽-その男、十郎兵衛-』へのご出演が決まった時のお話を教えてください。
今一緒に声優のお仕事とかをやらせて頂いている、朴路美さんと4年位ラジオ番組をやらせてもらっているのですが、プライベートでも、二人でお芝居をしたいねっていう話をよくするようになったんです。それで何か企画出来ないかねって話している中、「(劇団☆新感線の)中島かずきさんに脚本を書いてもらえたら自分たちの第一弾の舞台としてやっていくのにすごいことだよね」と朴さんが提案してくれて。その後かずきさんとお話をする場を設けて、自分らがやりたいこととか、かずきさんの思いとかを色々とお話させていただいたんです。その時には台本を書きおろして頂けるってお話にはならなかったんですが、後日かずきさんから連絡を頂いて「ミュージカルで『戯伝写楽』をやる。でもストレートプレイでもやりたいんだ。是非朴さんと宮野さんでどうか。」ってかずきさんの方から言ってくださって、今回のように僕らのプロデュース第一弾として『戯伝写楽』ができる運びとなりましたね。
――舞台の大まかなストーリーと、役どころを教えてください。
僕は十郎兵衛という役をやらせて頂くんですが、このお話のキーポイントとなるところが、「写楽の存在、その謎に迫る」っていう所で、実際に史実でも本当は誰だったんだろうって色んな説があるようです。そんな中、今回は、実は写楽は女性だったんじゃないかっていうお話を、史実とフィクションを織り交ぜてくり広げていきます。絵師を目指しているが、才能の無い十郎兵衛という男がどのようにして写楽になってくのかが注目です。

――演じていて共感できる部分はありますか?
絵描きになりたいが才能がない。でも本当に自分に出来る事はよくわかっているので、十郎兵衛はおせいという少女の絵に魅せられると、自分は表の写楽として立ち振る舞っていく道を選ぶ。僕もそういう才能と出会った時の喜びや憧れを感じながらも、自分はプレイヤーとして自信と誇りをもって最高のパフォーマンスをしようと思い活動しているので、そういう所に魅力を感じて、共感できたというか、ちょっとリンクして物語にぐっと入り込んでいきました。
――舞台への意気込みをどうぞ!
劇団でバリバリにやっている役者さんに囲まれて、声優の僕が一人ポンと入って、色々と皆さんのエネルギーに圧倒されながらも新しいことに挑戦出来ている実感があります。中島かずきさんとの出会いも有りますし、沢山の方々との新しい出会いがある中で、「新しい自分」とも出会いたいなと思い僕自身挑んでいる作品です。今までの僕を知ってくださっている方でも、この舞台を見て「こんな宮野真守見たことないな」って思ってもらえるような舞台にしたいと思います。