――タイトルにちなみまして、醍醐さんがこれまでに全力で取り組んだことを挙げるとしたら?
なんだろう……常に全力なんですよね。やっていることに関して全部全力でやっていて、例えば減量する時もこの期間って決めたら絶対にその期間内でやり切ります。でも全力でやれないことはやらないんです。中途半端にやるくらいだったら最初からやらないタイプです。
――『#ハンド全力』の見どころを教えてください
普段生活している中で忘れがちなこととかを映画というエンターテインメントの中で気づかせてくれる、教えてくれる作品になっているのではないかと思います。青春映画ですけどキラキラというよりちょっとひねくれていて、それが松居監督の作品の魅力だなと僕は感じていて。
――ハンドボールだけではなくて、SNSも物語に絡んでいるのが今の時代を反映しているなと感じました
そうなんですよね。普通だったらハンドボールを全力でやるじゃないですか。でも全力でやらないっていう(笑)。そういう視点の当て方は面白いなと思って、見ていただいた皆さんが若かりし頃ではないですけど、自分の学生時代を思い出せるような作品にもなっているのではないかと思います。
また、熊本地震をテーマに扱っているので、作品を通して思い出してほしいです。

――ここからは醍醐さんご自身についてお伺いします。芸能界に入ったきっかけは?
中学3年の12月に入ったんですけど、サッカー部を引退した後いつも公園で暇をしていたら友だちに勧められました(笑)
――昨年、映画『天気の子』で主人公の森嶋帆高を演じられ、「第14回声優アワード」で新人男優賞を受賞されました。声優へのチャレンジと賞をいただいた時のお気持ちはいかがでしたか?
実感があんまりなくて、本当は受賞していないんじゃないかなってまだ思っています(苦笑)。賞はいただいたんですけど、授賞式が中止になってしまって。賞という形で評価していただいたのはすごく嬉しいです。でも僕の実力というよりは、本当に作品が素晴らしかったですし、携わってくださったスタッフの方々のお陰であるので。なので、皆さんに持ち上げてもらって、背中を押してもらって受賞出来たと思っています。
声優に関してチャレンジして良かったと思うのが、音に対してすごく敏感になったというか、自分が発する音や気持ちいい音みたいなものが感覚的に分かるようになりました。それは実写の世界でも、ここはこのトーンで言ったら聞いていて気持ちが良いだろうなっていうことを意識しながら演じられるようになりました。
――ドラマや映画の映像、舞台に声優と様々なジャンルの作品に出演されていますが、それぞれのジャンルで演じる時の違いは感じていますか?
監督さんにもよると思いますが、個人的には監督さんの役に対するイメージをお聞きして、意見を出しあって役作りをしていく作業がとても楽しいです。役に入り込んで、心の底から相手の方と向き合ってお芝居をしているような、その瞬間がとても好きです。
舞台は逆に1対1ではなく1対お客さんに向けてセリフを言うので、発声の仕方や動作が全く違うなと思いました。これを理解したのは最近なんです。なんでこんな身振り手振り大きく話しているんだろうって今まで思っていましたが、それを理解してからはその違いを楽しんでお芝居ができるようになったと思います。
――ちゃんと意図があったんですね。声優のお仕事については?
声優が一番違いますね。まずマイクに向かって話さないといけないので。
――声だけで感情も伝えなければいけないですし
難しかったですね。声のボリューム感や息切れの音とか、息切れも普通に「ハァハァハァ」だけでやると、実は単調に聞こえて棒読みに聞こえちゃうんです。だから「ハァ」や「プハァ」、「ンハア」って色々な音、一音ずつ違う音をずっと入れ込まないと音として聞いたらリアルに聞こえなかったりするんです。すごくテクニカルなジャンルだと思いました。
――最近YouTubeチャンネルが設立されましたが、やってみていかがですか?
僕にとってご褒美なんです!僕自身ゲームがめちゃくちゃ好きで、「Apex」がすごく好きなんですけど、マネージャーさんが好きなだけやっていいよって!あそこに映っているのは普段と変わらない姿です。
――YouTubeでは醍醐さんの素が見られるんですね
カメラが回っているので100%ではないですけど、素に近い状態が見せられているんじゃないかなって思っています。
――今年の9月で20歳になりますが、20歳になってやりたいことは?
マネージャーさんがお酒が好きな人なので、一緒に色んなお店に連れて行ってもらいたいなって思います。今から楽しみです!
――お仕事に関して目標はありますか?
特に目標は設定せずに、目の前の仕事に対して一つ一つ真摯に向き合う、ということをこれからも続けていきたいです。その結果、将来僕が思い描く一流の役者になれたら良いなと思っています。
――ありがとうございます。それでは最後にファンの方々へのメッセージをお願いします
読んでいただきありがとうございました。映画『#ハンド全力』が公開されますので、ぜひ劇場へ足を運んでくださると嬉しいです。大変なご時世ですので、体調にはくれぐれもお気をつけください。

 

 

<<撮影裏話>>
撮影現場で水道を発見した醍醐さん。
「水、出してみてもいいですか?」と近づいて蛇口を捻り、勢いよく出てきた水に驚く一面もありました。


カメラマン:秋葉巧、ヘアメイク:石川茜、スタイリスト:井上亮 (BVC)
取材:村松千晶