――1月30日発売のシングル『この世界で』は尾崎雄貴さん書き下ろしの楽曲。どのような経緯でこの曲が生まれたんでしょうか?
尾崎さんは前作のアルバムから楽曲提供していただいていて、リリースあるなし関係なくお互いのライブに足を運んだりと交流は続いていました。その中でデモみたいなものを尾崎さんが届けてくださっていて、そこに『この世界で』の原型があったんです。
――では、既に楽曲は聞いていたんですね
これをいつか形にしていきたいという思いが自分の中でありました。その後、映画「コードギアス 復活のルルーシュ」のオープニング主題歌のお話をいただいて、この世界観だったら尾崎さんからいただいた曲をブラッシュアップするのが良いんじゃないかということで、今自分が歌っていきたいテーマや想いをお伝えしました。そこにコードギアスの世界観も融合させていただいて、完成したのが『この世界で』です。

――MV制作の裏話を教えてください
どなたとMVを作っていこうか考えていた時に、ちょうど尾崎さんがライブで東京に来ていて、ご挨拶に楽屋に伺ったらMitch Nakano監督が偶然居合わせていたんです。Mitchさんは尾崎さんのMVも作っている方だったので、その場で「スケジュール空いてないですか?」ってお声掛けさせていただきました。
――家入さんが直接オファーされたんですか?
そうですね。それから色々話をした中で『この世界で』ってタイトルだから色々な景色を織り交ぜながら私が歌唱している姿をひとつのものにすると良いんじゃないかということになりました。屋上と部屋と海辺と……。でも、めちゃくちゃ寒かったんです、海辺が!メイクさんやスタイリストさん、マネージャーさんに人間湯たんぽみたいな感じで温めてもらいながら撮影に臨んでいました(笑)
――部屋のシーンは監督の自宅で撮影されたとか
はい。普段スタジオでMVを撮影する時は皆さんがセットを用意してくれて、ゼロベースから作っていかなきゃいけないんですけど。監督の家はMitchさんが普段生活し、既に息づいているものがあるので、1から作らせてもらえたというか。ゼロから1にする作業は大変ですけど1からスタートできるっていうのが新鮮で良かったです。
――カップリングの『Spark』はご自身で作詞作曲された曲ですが、どのようなテーマで楽曲制作に臨んだんでしょうか?
NHKの「アニ×パラ~あなたのヒーローは誰ですか~」というパラスポーツ番組のテーマソングのお話をいただいて、そこで車いすテニスをしていらっしゃる国枝慎吾選手のドキュメント映像を見た時に、本当に感動したんです。なぜ自分が感動したんだろうって立ち返った時に、ハンデがある中で車いすテニスをしているところに感動したのではないと。国枝選手が1人の人間として懸命に自分の道を切り開いている、その姿勢に感銘を受けました。それを自分の中で置き換えたら、性別だなって思ったんです。
――歌詞にも性別に関するフレーズが出てきていますよね
「女の子だから」「男の子だから」っていう言い訳を、つい自分も使ってしまうことがあるし、周りから言われたりもしますが、そこにくじけずに自分も1人の人間として輝いていこうと思って。ハンデや性別に関係なく、自分がどうしたいかというところで未来を選択していこうって思って作った曲です。
――さらに、ピアニストの清塚信也さんとコラボレーションされた『もし君を許せたら』ピアノバージョンも収録されます。
元々「ミュージックステーション」で『ずっと、ふたりで』をコラボレーションさせていただいたのがきっかけでした。その時清塚さんは海外に行かれていて、飛行機が遅れてリハーサルが出来なかったんです。ただでさえ色々な緊張感がある現場なのですが、そこで1,2回少し合わせたくらいで本番になってしまって……。二人でこの生放送を乗り切った絶妙な達成感を共有出来ていたので、今回ピアノバージョンを収録するにあたり絶対に清塚さんにお願いしようって思っていました。
――レコーディングはどのような感じだったんですか?
一つのブースにグランドピアノとマイクを立てて、向かい合って一発録りしたんですけど、絶妙な緊張感と高揚感が癖になりました。フェンシングの試合をしているみたいな感じでした。狂気的な『もし君を許せたら』になったのではないかと思います。

――2月24日の『7th Anniversary Live at 大阪城ホール~Premium Symphonic Night~』のお話もお聞かせいただければと思います。どのような公演になる予定ですか?
7周年を記念するスペシャルライブなので、特別なことがしたいなと。普段一緒に演奏しているバンドメンバーとフルオーケストラの2部構成になっています。なかなかツアーでフルオーケストラの方とご一緒できないので、一夜限りだからこそ実現するコラボレーションですね。さらに今までリリースしてきた曲のアレンジもちょっと変えながら、ここでしか聞けないものにしていこうと思っているのでぜひ来ていただきたいです。
――さらに5月からは全国ツアーも控えていますね
バンドメンバーとより密にリハーサルをしつつ回るツアーになると思うので、自分がその日どういう風に心が動いてどういう風な歌を届けられるかなってワクワクがあります。
――会場ごとにお客様の雰囲気の違いを感じますか?
感じます!自分の生まれ育った福岡は温かさはもちろんあるんですけど、他の県にはない空気感もあって。東名阪はライブ慣れしているなと。寒い地域の方たちはちょっとシャイな一面があるなと思ったり。地域性はすごく出てきますね。
――ライブ前に行うルーティーンはありますか?
ルーティーンを作っていた時期もあったんですけど、それが出来ないと逆に落ち着かないから最近は特に決めてないです。準備運動としてストレッチやランニング、縄跳びとかはしますけど、これがなきゃ!っていうのはあまりないかもしれないですね。