――ドラマ『牙狼<GARO>』新シリーズ『神の牙-JINGA-』は、ずっと悪役だった神牙(ジンガ)を主役に据えてのドラマです
正直、お話をいただいた時に神牙というキャラクターが主役になり得るのか考えたし、悩みました。責任感と、それからプレッシャーは相当ありましたね。
――ジンガの心の葛藤にも大きくスポットが当たって来ると思います。どんな役作りをしましたか?
今回はプロデューサーの林(洋輔)さんと雨宮(慶太)監督の意向で、脚本や制作の準備段階からアイデアを出させていただきました。役作りというと、もとからあるものを自分にどうやって入れていくかですけど、今作のジンガは0から作り上げた印象が強いです。役作りと、ジンガという役がドラマの中でどう活きるかというドラマ作り、この2つを考えることが出来ました。

――現場の雰囲気は?
従来の牙狼チームの伝統の良さを残しながら、新しいことをやってやるぞ、というみんなの気持ちが感じられて気持ちがいいですね。固定概念にとらわれず、常に立ち向かっていく姿勢を崩さないスタッフさんがたくさんいて心強いです。
――これまでとはまた違った世界観を出していきたいと?
そうですね。僕たちもこれまでの『牙狼<GARO>』シリーズとは違った全く新しい作品として作って来ましたし、全体の「こうして行きたい」という雰囲気に合わせて、スタッフも役者も一丸となって表現しています。魔戒騎士という異次元の物語ではあるけれど、彼らが現実にいると思って作って行くのが今作のコンセプトの1つでもあります。
――井上さんからみた御影神牙とは?
従来悪役の神牙はものすごく純粋で、自分を持っていて、人から何を言われても自分の世界観が変わらない人。ものすごく上から目線なんだなっていうのはあるんですけど(笑)。今回、なぜ御影神牙という役なのか?とか、アミリがいなくてアルヴァという役が出てきたりとか、牙狼ファンの方にとってはかなり謎が多かったと思います。裏ではかなり作りこまれているので、そのあたりも一緒に考えていただけたら。
――改めて井上さんにとって今回のドラマはどんな作品ですか?
実は僕、08年の8月にデビューさせていただいて、最初にやったのが銀髪の役だったんです。そのすぐあとには変身ものをやっていて、なぜか10周年を迎えて1番最初に出る作品が「銀髪で変身する」という役で、縁があるなと思いつつ(笑)。これまでの10年は勉強させていただきましたし、吸収することが多かったんですけど、“神の牙”では演技をするではなく表現するという気持ちでやらせていただいているので、自分の思い描く世界観を総監督の梅津(芳臣)さんや林さんと一緒に作って行けたらと思っています。

――10年という節目の年を迎える井上さんですが、デビューのきっかけは何だったんでしょう
渋谷でスカウトされたのがきっかけです。今だから言えるんですけど、この世界に進む確固たる理由はなくて……(笑)。ただ当時は新しいことをやってみたいという気持ちがものすごく強かったですね。それまで勉強でもスポーツでも別段困ったことはなかったんですけど、歌やダンス、演技をするということに関しては全くの素人で、何かを表現するということが自分には欠如していることに気づいたんです。“ああ、自分の苦手分野がここにあった”と思って、持ち前の負けず嫌い精神で飛び込みました。
――何もわからないまま飛び込んだ芸能界で印象に残っているのは?
初めて受けたオーデションが、ミュージカル『テニスの王子様』の跡部景吾という役だったんですが、僕は高校時代テニス部で、『テニスの王子様』のマンガも持っているし、ゲームもやるくらい好きだったんですよ。だから台本をもらってからセリフを覚えるんじゃなくて、既に覚えていたというアドバンテージがあったんです(笑)。受かった理由はテニスのフォームがきれいだったからだと言われたんですけど、今ではいい思い出ですね。
――小さい頃はどんな子供でしたか?
ずっと野球をやっていました。ピッチャーをやりたくて、毎日投げる練習をしていました。当時は身体が小さくて、身長も前から数えた方が早くて。でも頑なにピッチャーをやりたかったから、投げる努力は怠りませんでしたね。自分のやりたいことをやるという、執念じみたところがある子供でした。
――最近ハマっていることはありますか?
Netflixをずっとみてます。あと、スポーツはゴルフ、ゲームは1個までという決まり事が自分の中にあって(笑)。ゴルフは最近ライバルにベストスコアを抜かれてしまったので、今年中に並ばないとと思っています。凝り性なので、動画をみてクラブの角度とか、筋肉の動きを分解して研究をするのが好きですね。ゲームは「サマナーズウォー」というものが好きで3年くらいやってるんですけど、目標は日本1位になることです!
――デビュー10周年を迎えて挑戦してみたいことは?
ざっくりだけど、みんながビックリすることをして行きたいです。役者としては大人な役も年齢に反して子供の役もやってみたいと思いながら、いろんなエンターテイメントを届けられたら。
――最後にファンの方にメッセージをお願いします
ファンレターを読むととても分かります。今後10年は、応援してくれた分だけ僕もファンの方たちに何かをしたいなと思う気持ちがあります。僕自身も向こう10年同じことをやり続けるのではなくて、みなさんがずっとワクワクしてくれるような自分で居続けたいと思うので、変わらず応援してくれたら嬉しいです。


写真:秋葉 巧、ヘアメイク:石川 茜、文:水出綾香