――ここからは笹森さんご自身についてもお伺いします。以前取材させていただいたのが2017年10月、ドラマ『先に生まれただけの僕』に出演されていたタイミングでした
僕がまだ舞台に出る前ですよね。20歳の頃だったと思います。
――約5年の間でお芝居に対する向き合い方は変わりましたか?
当時は、作品の中で一言二言話すくらいで、正直お芝居のことをちゃんと分かっていなくてゼロに等しい状態でした。そこから約5年経って、舞台やドラマに出演させていただけるようになって、考え方は180度変わりました。当時は目の前のことでいっぱいいっぱいでしたが、今は仕事に対して楽しさを覚えるようになりました。
――この数年は2.5次元の舞台作品で活躍されている印象が強くあります
僕自身は正直2.5次元の作品をやっている自覚はなくて、ただ単に役者として役を演じているだけだなと思っています。衣装を着てそのキャラクターをやらせてもらっていますけど、作品の中で起きていることはストレートプレイと何ら変わらないものと思っていて、2.5次元だからこうするみたいなことはなくて、単純にお芝居を楽しんでいるという感覚です。
――舞台のどのようなところに面白さを感じていますか?
チームプレイと言うか、皆で一つの方向に向かって努力するのがとても楽しいですね。僕自身ずっと野球をやっていたので重なる部分がありますし、少しずつお芝居やダンス、歌が良くなっていく中で、新しい感情が芽生えてきたりもして。同じ芝居をするにしても毎公演何か違うものが見えたりするので、他の職業だったら味わえないところだろうなと思います。

――2月19日からは「『あんさんぶるスターズ!THE STAGE』-Track to Miracle-」が始まります。約3年ぶりのあんステ出演ですが、久しぶりに帰って来た感想は?
まさかまた出られるとは思っていなかったですし、お話をいただけたことが大変光栄でした。あんステは僕自身2作目の舞台作品で先輩から役を引き継いだ形だったんですけど、あの時出来なかったことや悔しい想いが残っていたので、自分の中ではリベンジみたいな感じです。いつかまた演じたいなと思っていましたし、ストーリーは違いますけど同じ役を演じるということで、この3年間どう過ごしてきたか一番分かるんじゃないかと思います。前と同じ芝居をする気は全くないですし、皆さんの目にどう映るかドキドキですよね。でも必死に自分なりに前に進んできた実感はあるので、それがどう皆さんに届くのか楽しみです。
――そして2020年にYouTubeも始められました。YouTubeは楽しいですか?
楽しいですね。もう本当に素で居られるというか、正直仕事をしている感覚がないです。
――企画はどうやって考えているんですか?
企画会議もするんですけど、基本的にどんなことをしたいか考えて、それを膨らませてやっている感じです。……何やったらいいですかね?(笑)
――難しいですね。誰かと同じことをやるのも良いですけど、もう一つ何か乗せたいですよね
役者をやっている自分が好きなので、役者業の中で僕のことを気になってくださった方が僕ごと好きになってくれたらそれが一番嬉しいです。なので、あえて何も包み隠さず、素でやらせてもらっています。
――役者さんは演じている姿を見ることが多いので、素の姿を見られるのはファンの方は嬉しいのではないでしょうか
そうなんですよね。でも最初はそれが不安でした。ありがたいことにシュッとしている役を演じることが多いのですが、僕自身は真逆のタイプの人間なので、役を見て好きになってくださった方がどう思うんだろうというのがすごく不安でした。でも、逆に良かったみたいで。
――そのギャップがすごく良いと思います
「YouTubeが面白い」って言ってくださる方が多くて安心しました。僕の想像では、舞台を見に来てくださった方が僕のことを気になってYouTubeを見る。そしてもっと僕のことを知ってもらうという流れだったんですけど、たまたま出てきた僕のYouTubeを見て「この人は何をやってる人?」「舞台やってるんだ」って見に来てくださる人もいるみたいでとても驚きました。YouTubeを始めて良かったなって思います。
――今後、演じてみたい役や出演してみたい作品は?
極論ですが、どんな役でもやってみたいです。演じるということは色んな自分を知れるということだと思うので。一つの役で知れる感情の幅には限りがあるので、もっとたくさんの役を演じて、役者としての自分の幅をもっと広げたいです。喜怒哀楽には分類されない感情に対して、これは何て感情なんだろう?と思うことが最近増えてきたので、自分の経験値を上げてそれに名前を付けたいですね。
――最後にファンの方々へのメッセージをお願いします
今回の『おじ恋』では本当にありがたいことに素敵な役をいただきました。今までかっこいい笹森裕貴をあまりお届け出来なかったと思いますが、樹は本当にかっこよくて素敵なキャラクターなので、樹が乗り移った笹森裕貴がどんな感じなのかをぜひ楽しみにしていただきたいです。あとは、この作品はラブコメディですが、家族愛や色んな要素が含まれているのでぜひそちらも注目していただけたらなと思います!


衣装協力:EGO TRIPPING,VIRTUOUS
カメラ:秋葉巧、スタイリスト:森内陽子、ヘアメイク:芹川善美