――フォトエッセイは表から読むと「俳優バージョン」、裏から読むと「YouTuberバージョン」という仕様になっているのが面白いなと思いました
これは本当に良いアイデアを出していただいて。僕はどちらにせよ役者だけのページにはしたくなかったっていうのは最初に提示したことで、それに対してのワニブックスさんの回答が「両A面はどうだろう?」ってことだったので、普通とはちょっと違うような本が出せるのが本当にありがたいです。実は紙の質も俳優とYouTuberとで変えていますし、写真のタッチも全然違っていてYouTuberの方はまた違う雰囲気の写真で、カメラマンは奏多の大学の同級生で、10年来の友人である小暮和音に撮ってもらって。
――色んな方々の力が集まって完成したフォトエッセイになっているんですね
僕が生きてきた中でお世話になった人たち皆に、またここでお世話になってしまうという感じです(笑)
――拝見させていただきましたが、本文の下にある補足まで、すごく読み応えがありました
補足がバカほど長いやつね!(笑)。こっちがメインじゃん、みたいな感じとか、そういうところでふざけたいなと思って作りました(笑)

――岸田さんの中でお気に入りの写真はありますか?
表の俳優の方は、今ノリに乗っていて素敵な写真家の方に撮っていただいて、全部がすごいクオリティーなんですけど、やっぱり上下黒のスーツの写真が僕の中では一番お気に入りです!自分がバンバをやっていただけあって、その時から黒が本当に好きなんです。自分の中にバンバが生きている感じがして良いですよね。
――やっぱり黒は特別ですか?
基本的に自分のカラーは黒です。YouTubeをやっていても、自分のテロップは黒っていうのは固定になっています。
――岸田さん的にこのフォトエッセイの出来栄えは何点でしょうか
そんなの100点以外を言うのは違うじゃないですか(笑)。でも、クオリティーとして何点かということよりかは、自分がやりたいことは100点分やらせていただきました。それがどう評価されるかは分かりませんけど、純粋に僕がやりたいことを全部通していただいて、自分が面白いのかなと思えることが詰まっています。
――発売日である4月16日はちょうど30歳の誕生日です。YouTuberとして、そして俳優として今後どうなっていきたいですか?
YouTubeの方で言うと、完全に東海オンエア、その中でもりょうくんという人物は僕の中でとても偉大な存在で、彼は「自分の人生が楽しくなるのは意外とイージーだ」って言うんですよ。「自分が大切にしてる人たちを全員ハッピーにした時に、一番自分が楽しいんじゃないかなと思うんだよね」っていうことを言っているし、今実際にそれを実現しているんですよね。東海オンエアのメンバー以外の、高校からの仲の良い人たちを社員にしたり、マンションを買って高校から全く変わらない遊びを今もしているっていう、そのYouTubeドリームを実現していて。何が言いたいかと言うと、僕自身も自分がハッピーになるというより、僕の大切な人たちが皆幸せになったら良いなっていうことをここから何年かかけて実現していきたいです。

――俳優としてはいかがですか?
俳優で言えば……難しいんですよね。今はこういう時代ですからどうなっていくか分かりません。でも、色んな役者の先輩方からは「早く年を取った方が良い」というのをすごく言っていただいていて。若い時よりも多分年を取って、ちょっとシワが出てきたりしてからの方が面白いんじゃないかっていうのを、自分が若い時から言っていただいていたので、30歳という節目になりますが、30代から40代にかけて大人の役者になっていけたら良いなと思っています。
――演じてみたい役柄はありますか?
悪役ですかね~。顔的にもスター性のある主役の感じじゃないじゃないですか(笑)。でも、本当にバンバって役は僕の中でかなり基盤になっています。今まではいかにして笑おうかっていうことを考えて役者人生やってきましたけど、丸山(真哉)プロデューサーから「時が来るまでお前は笑うな」と言われて、17話までバンバは笑わずにやってきて、それでこんなに笑わないことで笑うということへの表現が示されるというか。無理に笑おうとしなくても喜びが出たり、喜怒哀楽を表現できるということをバンバで勉強させてもらったので、それを基盤に出来る役、それこそ悪役なんか笑いが逆にちょっとした怖さに変わっていったりすると思うので、そういう役に挑戦してみたいです。
――最後に、ファンの方々へのメッセージをお願いします
皆さん、本当にお待たせしました。戦隊ファンの方から「写真集とかは出さないんですか?」とSNSのDMやコメントでかなりいただいていましたがそれを全て無視して何年か生きてきてしまいましたけど(笑)、ようやく皆さんにお届け出来るかなと思っています。コロナ禍になり戦隊でちゃんとお別れが出来なかったんですが、ちょっとしたプレゼントじゃないですけど、僕から贈り物をさせていただけたらと思います。ちょっとお金がかかっちゃいますけど(笑)、手に取っていただけたら嬉しいです。


写真:秋葉巧、文:村松千晶