――それがきっかけで石野さんが“このコをプロデュースしたい”と思われたわけですよね(笑)。ということは、一番最初のお仕事は歌手のお仕事だったんですか?
一番最初の仕事の時に、「篠原、歌う女のコの役でドラマが決まったよ!」と言われたんですよ。歌も好きだし、演技もやりたいと思っていたので、凄く嬉しい話が飛び込んできた!とやる気満々だったんですけど、いざ現場に入ったら8mmビデオみたいなもので撮り始めて、『あれ?なんかおかしい・・・』と思ったら、よく結婚式に流す馴れ初めの再現VTRで。私は、それをドラマとして放送されると思い込んでいたので、必死で山本リンダさんの“狙い撃ち”を歌っていたんですけど、違いました。それが一番最初のお仕事だったかなぁ・・・。
――その後、歌手はもちろん女優としても活躍されていますが、今までで一番辛かったことは?
例えば、舞台の袖で泣きそうになったり、早着替えがあったり、大変なこともありますけど、その後の観客の方からの拍手で、大変だったことも辛かったことも全て帳消しになるので、ただ単に“辛い”と思ったことはないです。

――では、この仕事をやっていて良かったと思うことは?
以前は年上の女優さんや俳優さんとお仕事することが多かったんですが、最近は同年代や年下のコともお仕事することも多くなって、「昔、シノラーでした。」とか「篠原さんに憧れて芸能界に入りました。」とか「篠原さんの真似をして友達が増えました。」とか、言ってくれる方がいたんです。私がやってきたことで、人の人生を変えるきっかけになれたというのは、この仕事のおかげだと思います。
――11月9日から蜷川幸雄さん演出の舞台『表裏源内蛙合戦』が公演されますが、公演間近の今の心境は?
もちろん不安もありますけど、不安からくる緊張というよりも、ワクワクしている気持ちの方が大きいですね。本番までにいかに、良いテンションを保って舞台に上がれるかが勝負だと思っているので、今はワクワクするための準備をしています(笑)。
――この舞台に出演が決まったときは、いかがでしたか?
蜷川さんの舞台に以前から出演したいと思っていたんです。Bunkamuraに居ついてるかのように蜷川さんの舞台には足を運んでいたんですけど、ある日蜷川さんをBunkamuraで発見して。蜷川さんと言ったら有名人じゃないですか!もう興奮しちゃって、「蜷川幸雄さぁーん!!」って叫びながら飛びついたら、蜷川さんも私の事を知っていてくれて、「あっ篠原だ!お前、俺の舞台出ろよ!」って言ってくださったんですよ。それから何度かお話を頂いていたようなんですが、タイミングが合わず、今回やっと出演することが出来ました。

――その念願の舞台の台本を読まれた感想は?
今回の役柄はキーマンではなく周りに華を添えるような役柄なんですけど、私が蜷川さんの作品の一部として関われたことがとても嬉しいです。私の性格からか、今までの役柄は元気の良い役に配役されることが多かったのですが、今回は花魁の役でかなり普段とはかけ離れている役柄なんです。だから、こんな新しい役を下さった蜷川さんは、やっぱり見る目あるなって・・・(笑)!
――花魁を演じるにあたり、気をつけていることはありますか?
台詞や言い回しだったり、衣裳や化粧で色っぽくしても、私から漂うものがないといけないなぁと思って、研究してるところです。何もしていなくても色っぽい女性っていますよね、でも私は色気ゼロだから(笑)。