――デビューのきっかけは?
ひょんなことがきっかけで、スーパー・ボーイ・コンテストに出場したんです。当時は京都でデザイナーの勉強をしていたこともあり、その時は芸能界に入ることをお断りしたんですが、3ヵ月後くらいにコンテストの時の映像を観たということで三池崇史監督から、「東京来てくれ。」と(笑)。「ホンマか・・・?」と思っていたら新幹線のチケットが送られてきて、とりあえずスーツを着て東京に行きました。

――いったい何事かと思いますよね(笑)?
チケットも送って頂いたので、実際にお会いして「何のお話でしょうか?」と聞いてみたら、『天然少女萬NEXT』というドラマの出演依頼でした。もう、その場でギャラ交渉やらアパートの契約やら、話しがどんどん進んで(笑)。それから、1ヵ月間学校を休んで欲しいということを言われたんですけど、さすがにそれは無理だったので、月に2回は京都に帰らせてもらえる条件で始めました。
――いきなりの展開で、戸惑いませんでしたか?
戸惑うという感じではなかったんですけど、東京に知り合いも居なかったですしプラっと出かけるくらいで、撮影がない日もずっと現場に居ましたね。 現場にいると、こだわりを持って生き生きと働いている皆がすごく眩しかったんです。一ヵ月半くらい現場にいたんですけど、いろんな場面に遭遇したり、いろんな方とお話させて頂いたり、プロデューサーの方の家に泊まりに行ったりもしてました(笑)。こんな刺激的で、大人が頑張っている“イイ世界”があるということを知って、まず三池監督に相談したんです。「俳優になるには・・・」ではなくて、「現場にいるためには、どうしたらいいですか?」って(笑)。そうしたら、俳優になるのが一番近道なんじゃないかというヒントを頂きました。

――では、今ドラマでご一緒されている三池監督が、松田さんの人生を変えられたキーマンでもあるんですね。
もう、完全なキーマンですよ!デビュー作が三池監督ではなかったら俳優を続けていたか分からないし、就職も決まっていたので、あのときに声を掛けてもらえなかったら、そもそもこんな展開にもならなかったと思います。今回ご一緒させて頂いて、三池監督と当時の話をしてたんです(笑)。 忘れられないことがあって、『天然少女萬NEXT』のクランクアップの時に、三池監督から花束を頂いたんです。もちろんデビュー作ですし、他のキャストの方のクランクアップに立ち会ったことがなかったので、監督から花を貰うということは、よっぽど特別なことだと思い「これは俳優をやるしかない!」と(笑)。それから事務所に所属して、2作品目も三池監督の作品だったんですけど、他のキャストの方のクランクアップに立ち会ったら皆がお花をもらってたんですよ。
――「俺だけじゃなかった!」みたいな(笑)。
でも、後にも引けないし(笑)。
――松田さんに多大な影響を及ぼした三池監督の魅力とは?
良い意味でヤンキー上がりの大人って感じです、良い意味でですよ!例えば、外で撮影をしていて、守衛の警備員の方に「何やってるんですか!?」と言われたりすると、普通は制作の主任が行くんですけど監督自らが出て行ったり、何か騒がしいと思って見に行ってみたら、三池監督が掴み合いの喧嘩してたり(笑)。そうやって先陣切って行動するところに、皆が惹かれるんだと思います。もちろん、監督としても素晴らしい方ですけど、言葉では言えない皆を引き寄せる力が三池監督の魅力だと思います。