――岐洲さんご自身についてもお伺いします。芸能界に入られておよそ5年となりますが、この5年間でご自身が成長を感じる部分は?
戦隊(『宇宙戦隊キュウレンジャー』)をやっていた頃は、自分はどうしても支えられる側だったんですね。その時期はそれで良かったと思うんですけど、これからは自分が誰かを支えていくというか、そういう実感を得られたこともあったので、意識の変化を含めて成長したのかなと感じました。
――お芝居をする上では?
初めてのワークショップでセリフを覚えたつもりで行って、いざやってみたらセリフが飛んで上手くいかなかったことがあったんです。だから、自分はセリフを覚えるのに何倍も時間がかかることに気づいて、1日や2日で一気に覚えるんじゃなくて、毎日読んで少しずつ覚えるっていうやり方が身につきました。まだまだ遅い方ではあるんですけど、覚え方がちょっと上手になったかもしれません。

――これまで出演した作品の中でターニングポイントになった作品は?
やっぱり戦隊は外せないです。宇宙一ラッキーな男のラッキー役を演じて、僕はどちらかというと根暗に見られることが多かったんですけど、ラッキーをやったことですごく明るくなって、別にそれが偽物の自分ではなくて、明るさを引き出してもらったような作品になりました。
舞台『フランケンシュタイン-cry for the moon-』の演出では、お芝居の仕方で感情の波に絶対無理をさせないっていうのがあったんです。だから言いづらいセリフは全部変えてもらって、感情の波がちゃんと乗っかってからセリフを言うのを心がけていました。お芝居って嘘をつくところもあるじゃないですか。例えばミュージカルでは、初めはケンカしていたのに5分の間で歌いながら想いが繋がるシーンがあったり。そういうのはエンターテインメントの見せ方として学びましたが、フランケンでは心に全く嘘をつかず、感情の波に自然に乗ってお芝居をしたっていう経験が出来ました。
あとは、冒頭8分間くらいの長ゼリフがあったのも、新しい経験でした。事務所の社長からも褒めてもらえたので、こんな長いセリフでも覚えられるという自信になりました。
――芸能界で仲の良い方はいますか?
戦隊のメンバーは皆仲が良いんですけど、その中でも特に南圭介さん。コロナ前は週4で会っていました。本当に仲良くしてもらっていて、年は12歳離れているんですけど、先輩というより仲間という感じです。僕たちの戦隊の中では、先輩後輩ではなくて戦友や仲間意識があって、以前は皆で一人の家に集まって忘年会をしたりもしていました。

――YouTubeの方ではゲーム配信を載せていますが、ゲームは元々好きだったんですか?
小学生ぐらいからゲームにハマっていて、ゲームの世界で生きている方が楽なぐらい好きなんです!ただ、ゲームは趣味でやっているので、YouTubeでは基本的に生配信をずっとやっているだけなんですけど、ゲームをずっとしている時間があったら、その姿を提供した方が良いかなと思って配信しています。
――岐洲さんにとってゲームが息抜きになっていると言いますか
息抜きですね。一般的にはそれは現実逃避に見えるかもしれないですけど、ゲームの世界で呼吸しているみたいな感覚です。
――ゲームを通じて印象的な思い出はありますか?
この世界に入る前、高校生の時に知り合ったゲームのフレンドが何人かいる中で、僕も当時は愛知に住んでいたんですけど、今は上京しましたし彼らも東京に住んでいるので、直接会うようになりました。僕の芝居を見に来てくれたりもして。ゲームで知り合った人たちと一緒に飲んだり芝居を見に来てもらったり、自分の仕事を生で見てもらうのは不思議ですよね。だって初めはずっとオンラインだったから顔も知らなかったんですけど、ゲームを通じてどんどん仲良くなって、もう長い付き合いです。
――今後挑戦してみたい役や出演してみたい作品は?
僕はどちらかというとナチュラルなお芝居が苦手なんですけど、ゲーマーの役なら自然体でいられるかも。ゲームばかりしているニートが異世界に行くようなお話とかあるじゃないですか。すごく似合うと思います(笑)。コロナの自粛期間中、舞台が2本飛んでしまって、半年以上のスケジュールが空いてしまったんです。すごく辛いことではあったんですけど、家にいてゲームがずっと出来る時間が持てた。でも、ずっとゲームしていると好きなことなのに嫌だなって感じたりもしてきて、ゲーム廃人だなと思って。リアルで体感したので、そういう役が来たら上手く演じられるんじゃないかと思います(笑)
――最後にファンの方々へのメッセージをお願いします
『砂の城』では、魅力的なキャストがたくさん登場しますが、とにかく僕はバレエダンスを頑張ります。そこだけが見どころでは無いんですけど(笑)、僕のファンの方々はダンスが出来ないことを知っていると思います。なので、僕がどれだけ美しく舞えているか、楽しみに見に来てください!


カメラマン:秋葉巧